歯科訪問診療内容

口腔内ケアで肺炎予防

    投稿日:2020年11月25日 | 最終更新日:2023年10月21日

    口腔内ケアで肺炎予防

    高齢者の死亡原因の一つである誤嚥性肺炎。食べ物を口に入れた際に、細菌が唾液や胃液とともに肺に流れ込むことで生じる肺炎です。口腔内のケアが行き届かずお口の中で細菌が繁殖していると、さらに肺炎の悪化のリスクは高まります。

    訪問診療

    飲み込む力が衰え、細菌を退治する白血球の力が弱くなっている高齢者に関しては、誤嚥性肺炎を予防するためには口腔内環境を整えることが大切だといえます。また、体外から消化管内に通したチューブを用いて流動食を摂取する経管栄養の方も、唾液の分泌量が少ないため口腔内ケアはとても重要です。

    美味しい食事をするためには

    高齢者の方の一番の楽しみは食事です。よく咬んで食べ物の味を楽しむ喜びは年をいくつとっても変わらないものです。しかし現状では、高齢者の多くの方は軟飯、軟菜、ソフト食、ペースト食、ミキサー食など介護食しか摂れず、低栄養に陥っていることが問題となっています。

    患者様がもし「普通食をおいしく食べたい」と願うのなら、義歯の調整と共に咀嚼(そしゃく)のリハビリを行いましょう。唾液をしっかり出す練習をすれば、固形食を食べてもむせらない嚥下ができるようになり、栄養価が高くておいしい食事を楽しめるようになります。

    肺炎は死亡原因の第3位

    肺炎は死亡原因の第3位

    高齢者の肺炎は、誤嚥による誤嚥性肺炎がほとんどです。また、90~94歳の死因の一位は誤嚥性肺炎を含む肺炎であり、年をとればとるほど、肺炎は命に関わる怖い病気となります。

    誤嚥(性肺炎)とは

    誤嚥(性肺炎)とは

    物を口に入れると通常であれば、食道を通って胃に向かいます。しかし、食道を通らずに肺に入ってしまうケースを誤嚥と呼びます。高齢者は飲み込む機能や咳をする力が弱くなり、口腔内の細菌や逆流した胃液が誤って肺に入ることがよくあります。そしてその時、細菌を含む唾液も一緒に誤嚥してしまい、菌が肺へ侵入。菌を排除する白血球に力がないと、気管支や肺で細菌が増殖してしまい肺炎を引き起こします。それが誤嚥性肺炎です。

    口腔ケアで免疫向上

    口腔ケアで免疫向上

    口腔内ケアを行うことで舌や口唇(くちびる)などの口腔機能が改善します。そして食べる量が増え、栄養状態の改善が図られ、免疫機能の向上につながります。

    自分のお口で食事を楽しむことの大切さ

    自分のお口で食事を楽しむことの大切さ

    たとえ口から食べ物を摂っていなくても、口腔内ケアは必要です。食事をしていなくても口腔内では粘膜の老廃物、痰などの汚れはたまります。しかし、唾液の分泌量は減少するため、結果として細菌が増加。誤嚥性肺炎にかかるリスクが高まります。

    通常の食事を楽しめる経管栄養の人も口腔内ケアは必要なのです。寝ている間に、唾液を誤嚥(不顕性誤嚥・サイレント・アスピレーション)してしまうと誤嚥性肺炎にかかる危険性があります。誤嚥性肺炎の予防には、就寝前の口腔内ケアはもちろんですが、唾液の分泌を活発にするためにもお口で食事することが大切だと考えられています。

    歯科治療と口腔ケアでお口の前準備

    歯科治療と口腔ケアでお口の前準備

    点滴や胃ろうなどで栄養を摂取している患者様は、口腔内環境が悪化していることが多いので食べる訓練の前に、歯科治療と専門的な口腔ケアが必要となります。また無歯顎で総入れ歯の方も、同様の口腔内ケアから行います。

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